【2026年最新】事業承継・M&A補助金 小規模売り手支援類型の申請ガイド

2026年最新の事業承継・M&A補助金「小規模売り手支援類型」の申請ガイドを解説するアイキャッチ画像。オフィス街を背景に、補助の対象・申請準備・注意点などを示したイメージ画像

後継者が見つからず、会社や事業の行く末を心配している経営者が増えています。中小企業庁の調査によれば、中小企業経営者の約半数が「後継者が決まっていない」と回答しており、事業承継は多くの中小企業にとって避けられない課題となっています。後継者不在のまま経営者が高齢化し、やむを得ず廃業を選ぶケースも後を絶たない状況です。

近年、こうした課題の解決策として注目されているのが、親族や社内への承継にこだわらず、第三者に事業を引き継ぐ「M&A(第三者承継)」です。後継者不在であっても事業を存続させ、従業員の雇用を守ることができる手段として、その活用は年々広がっています。

一方で、M&Aを進めるには仲介業者や専門家への報酬など、一定のコストがかかります。特に小規模事業者にとっては、この費用負担が検討を躊躇させる要因にもなっていました。仲介業者への成功報酬だけで数百万円に及ぶケースもあり、「費用が心配でM&Aに踏み出せない」という声は少なくありません。

そうした状況を踏まえ、国は「事業承継・M&A補助金」を設け、専門家活用にかかる費用の一部を補助する仕組みを整えています。

2026年5月22日、第15次公募要領が公表され、申請受付がスタートしました。今回の最大の注目点は、小規模な売り手企業を対象とした「小規模売り手支援類型」が新設されたことです。

本記事では、補助金制度の基本的な仕組みから、新設類型の詳細・申請上の注意点・準備のポイントまで、順を追って解説します。国のM&A支援機関登録を受けた専門機関として、数多くの事業承継・M&A相談に対応してきた経験をもとに、実務的な視点でまとめています。

第15次公募 申請締切:2026年7月24日(金)17:00
公募開始は2026年6月19日(金)~(公募期間約1か月半)。GビズID取得など 事前準備に時間がかかるため、早めの確認をお勧めします。


目次

1. 事業承継・M&A補助金とはどのような制度か

制度の目的

「事業承継・M&A補助金」は、中小企業・小規模事業者が円滑に事業承継・M&Aを行えるよう、主に専門家活用にかかる費用の一部を国が補助する制度です。中小企業庁が所管しており、後継者不在による廃業を防ぎ、優良な技術・雇用・ノウハウを次世代に引き継ぐことを目的としています。

廃業を選んだ場合、雇用の喪失だけでなく、地域に根ざした技術やサービスが失われるリスクもあります。M&Aによる第三者承継は、そうした損失を回避する有力な選択肢として、国も積極的に推進しています。

これまでの公募と第15次公募の位置づけ

本補助金はこれまで複数回にわたって公募が実施されており、第15次公募は2026年5月22日に公募要領が公表されました。毎回、要件や類型の見直しが行われており、今回は特に小規模事業者への支援を強化する観点から新たな類型が設けられています。

補助金の主な類型(第15次公募)

第15次公募では、以下の類型が設けられています(代表的なもの)。

類型対象概要
経営者交代類型親族内・従業員等への承継経営革新に取り組む後継者を支援
M&A類型第三者承継(買い手・売り手)M&Aに係る専門家費用等を補助
小規模売り手支援類型(新設)小規模事業者(売り手)M&A専門家費用を重点補助

本記事では、特に注目度の高い「小規模売り手支援類型」を中心に解説します。


2. 新設「小規模売り手支援類型」の詳細

どのような事業者が対象か

本類型の対象は、会社や事業を第三者に引き継ぎたいと考えている小規模事業者(売り手側)です。「小規模事業者」に該当するかどうかは、業種ごとの従業員数を基準に判断します(目安)。

業種従業員数の目安
製造業・建設業・運輸業 等20名以下
商業・サービス業 等5名以下

個人事業主も対象に含まれます。「自社が小規模事業者に当たるかどうかわからない」という場合は、公募要領の定義を確認するか、専門家に相談することをお勧めします。

補助の対象となる費用

M&A成立に向けて専門家・機関に依頼する際に発生する費用が補助対象となります。主な対象経費は以下のとおりです。

  • M&A専門家(仲介業者・FAなど)に支払う着手金・中間金・成功報酬
  • マッチングプラットフォームへの登録料・システム利用料
  • その他、M&Aの専門家活用に関連する費用

実際のM&Aでは、仲介業者への着手金として数十万円、成功報酬として譲渡金額の数%(数百万円規模になることも)が発生するケースがあります。補助金によってこうした費用負担を2/3まで軽減できることは、小規模事業者にとって大きなメリットです。

なお、補助対象となる費用の詳細・範囲は公募要領に定められています。経費の計上にあたっては、対象となるかどうかを事前に確認することが重要です。

補助条件(補助率・上限額・下限額)

項目内容
補助率補助対象経費の2/3以内
補助上限額最大450万円
M&A不成立の場合の上限50万円
補助下限額なし

補助上限が最大450万円と高く設定されている一方、補助下限がないため、発生費用が少額であっても申請できます。これまで「費用が小さいから補助金を使うほどでもない」と考えていた方にとっても、活用を検討する余地がある設計となっています。

M&Aが不成立だった場合でも補助される

本類型の特徴のひとつが、M&Aが成立しなかった場合でも、上限50万円の範囲で補助を受けられる点です。売り手として真剣に取り組んだにもかかわらずM&Aが成立しなかった場合のリスクを一定程度カバーしており、専門家への相談・取り組みを後押しする制度設計となっています。


3. 類型の選び方:小規模売り手支援類型とM&A類型の違い

「小規模売り手支援類型」と既存の「M&A類型(売り手)」は、どちらも第三者承継を検討している売り手事業者を対象としていますが、対象規模や補助条件に違いがあります。両類型の主な違いを整理しておきましょう。

比較項目M&A類型(売り手)小規模売り手支援類型
対象規模中小企業全般小規模事業者のみ
補助上限通常600万円程度最大450万円
補助率2/32/3
補助下限あり(要確認)なし
不成立時の補助限定的上限50万円あり

従業員数が「製造業等で20名以下、商業・サービス業で5名以下」の要件を満たす小規模事業者であっても、補助上限が大幅に高く、不成立リスクもカバーされる小規模売り手支援類型の方が有利なケースが多いです。

ただし、自社がどちらの類型に該当するかは公募要領の定義に基づいて判断する必要があります。規模区分の判断に迷う場合は、専門家へ確認することをお勧めします。


4. 補助金を受けるための必須条件

登録M&A支援機関への依頼が前提

補助金の申請にあたって特に注意が必要なのが、依頼先の要件です。

M&Aの専門家であれば誰に依頼しても補助対象になると思われがちですが、そうではありません。本補助金を受けるためには、原則として国の「M&A支援機関登録制度」に登録された専門機関に依頼する必要があります。

登録のない業者への費用は、たとえ実際にM&Aの支援を受けていたとしても補助対象外となります。専門家を選ぶ際には、必ず登録の有無を事前に確認してください。

登録機関は、中小企業庁が公表する「登録M&A支援機関一覧」でインターネット上から検索・確認できます。

補助金の申請タイミングに関する注意

本補助金は「事前申請型」です。M&Aに係る取り組みを開始する前に補助金の交付申請を行い、採択を受けた上で取り組みを進める必要があります。すでに着手した費用については補助対象外となるケースがありますので、スケジュール管理に注意が必要です。

「すでに仲介業者との契約を進めているが今からでも申請できるか」というご相談をよくいただきますが、交付決定後に発生する費用分については対象となる可能性があります。早急に専門家や事務局に確認することが重要です。

交付申請から補助金受取までの流れ

補助金を受け取るまでには、以下のような手順を踏む必要があります。

  1. GビズIDの取得
  2. 交付申請(Jグランツによるオンライン申請)
  3. 採択・交付決定
  4. M&Aの取り組み実施(専門家への依頼・費用の発生)
  5. 実績報告・確定検査
  6. 補助金の受取

採択されてから実際に補助金を受け取るまでには一定の期間がかかります。一般的に、交付決定から補助金の入金まで数か月単位の時間を要するケースが多く、資金繰りを考慮した上でスケジュールを立てることが重要です。補助金はあくまで「後払い」であることを念頭に置いた計画が必要です。


5. M&A支援機関への「登録」を検討している方へ

M&Aの支援業務を手がけている士業・コンサルタント・金融機関の方の中には、補助金の活用拡大に伴い、M&A支援機関登録を新たに検討している方も増えています。

登録することで、自社が関与する案件に本補助金を活用できるようになり、クライアントへの支援の選択肢が広がります。また、中小企業庁の登録機関一覧に掲載されることで、補助金活用を希望する事業者からの問い合わせにつながるケースもあります。

登録の手続きと主な要件

M&A支援機関として登録するためには、一定の要件を満たした上で申請を行う必要があります。主な要件・確認事項は以下のとおりです。

  • M&Aの仲介・FA等の業務を行っていること(または行う予定であること)
  • 登録申請書類の提出(事業概要・支援実績等)
  • 登録後の定期的な届出・更新対応

登録申請にあたっては、書類の準備に一定の手間がかかります。「要件を満たしているか確認したい」「書類準備をスムーズに進めたい」という場合は、登録手続きの支援を行っている行政書士等の専門家に相談することも選択肢のひとつです。


6. 申請にあたって準備しておくこと

GビズIDの取得

申請はオンライン申請システム「Jグランツ」を通じて行います。利用には「GビズID(プライム)」の取得が必須です。

GビズIDの取得は「GビズIDホームページ」から手続きできます。「プライム」アカウントには書類の郵送による本人確認が必要で、発行まで通常1〜2週間程度かかる場合があります。申請締切(7月24日)から逆算すると、今すぐ手続きを開始することが必要です。

必要書類の確認と事前準備

申請時には、事業者の基本情報のほか、M&Aの取り組み計画や費用の見積もりなど、複数の書類を用意する必要があります。公募要領に記載されている必要書類を早めに確認し、準備を進めておくことが重要です。

特に費用の見積書については、登録M&A支援機関から正式な見積もりを取得しておくことが申請の前提となります。早めに支援機関への相談を始めることが、スムーズな申請への近道です。

専門家との連携

補助金の申請においては、対象となる費用の範囲・申請書類の記載内容・スケジュール管理など、把握すべき事項が多岐にわたります。登録M&A支援機関や行政書士等の専門家と早めに連携することで、申請準備をスムーズに進めやすくなります。

「自社が対象になるか」「どの類型を選べばよいか」「書類の書き方がわからない」といった段階からでも、専門家への相談は有効です。申請締切は2026年7月24日と限られているため、早めに動き出すことが採択への近道となります。


7. よくある質問(FAQ)

M&A補助金の申請相談でよく寄せられる疑問をまとめました。

Q1. 個人事業主でも申請できますか?

はい、申請可能です。「小規模売り手支援類型」の対象は法人に限らず、個人事業主も含まれます。ただし、業種ごとの従業員数要件を満たしているかどうか、公募要領で確認が必要です。

Q2. すでに仲介業者に依頼しているのですが、今から補助金を申請できますか?

本補助金は「事前申請型」のため、補助金の交付決定前に発生した費用は原則として補助対象外となります。ただし、交付決定後に発生する費用については補助対象となる可能性があります。すでに着手している場合でも、まず早急に専門家または事務局に確認することをお勧めします。

Q3. M&Aの相手先(買い手)が見つかっていなくても申請できますか?

はい、申請時点でマッチング相手が確定していなくても申請できます。補助金は「M&Aに向けた専門家活用の費用」を補助するものであり、仲介業者への着手金やプラットフォーム登録料など、相手先が決まる前に発生する費用も補助対象となります。

Q4. GビズIDはどこで取得できますか?

GビズIDは「GビズIDホームページ」から申請手続きを行うことができます。「プライム」アカウントの取得には書類郵送による審査が必要で、発行まで通常1〜2週間程度かかります。申請を検討している方は、今すぐ手続きを開始することをお勧めします。

Q5. 補助金の採択率はどのくらいですか?

採択率は公募回ごとに異なり、中小企業庁から公式に公表されています。過去の公募では一定の採択率が維持されていますが、申請書類の内容や取り組みの具体性が審査に影響します。要件を満たしていれば申請を躊躇する必要はありませんが、書類の精度を高めることが採択の可能性を高めます。

Q6. 補助金はいつ受け取れますか?

補助金の受取は、M&Aの取り組みが完了し、実績報告・確定検査を経た後となります。交付決定からM&Aの実施、実績報告、入金までは一般的に数か月単位の時間を要します。補助金はあくまで費用の後払い補填であるため、一時的な立替資金が必要になる点に注意が必要です。


まとめ

第15次公募の主なポイントを整理します。

  • 申請受付開始:2026年6月19日〜
  • 申請締切:2026年7月24日(金)17:00
  • 新設「小規模売り手支援類型」:補助上限最大450万円、補助率2/3、補助下限なし
  • M&A不成立の場合も上限50万円の補助あり
  • 登録M&A支援機関への依頼が補助金受給の必須条件
  • 申請はJグランツ経由。GビズIDの事前取得が必要(取得に1〜2週間)
  • 補助金は後払いのため、資金繰りを含めた計画が重要

締切(2026年7月24日)まで限られた期間の中で、GビズIDの取得・書類準備・専門家との調整を並行して進める必要があります。後継者不在による廃業という選択肢を選ぶ前に、M&Aと補助金の活用を一度ご検討ください。

当事務所は国の「M&A支援機関登録」を受けた専門機関として、補助金の申請サポートからM&A手続きの支援、M&A支援機関登録の代行まで対応しています。「自社が対象になるか確認したい」「何から手をつければよいかわからない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。


※本記事の情報は2026年5月時点の公募要領に基づいています。補助金の詳細・最新情報は中小企業庁の公式サイトおよび公募要領でご確認ください。

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