事業承継・M&A補助金15次公募の採択率と落ちる理由|小規模売り手が審査を通過するための準備

「申請しようと思っているが、自分は本当に通るのだろうか」——事業承継・M&A補助金を知った後に必ずと言っていいほど浮かぶ不安です。本記事では、14次公募の公式確定データ(採択率60.7%)をもとに、不採択の本当の理由と通過するためのポイントを、M&A支援機関登録済み・専門家登録行政書士の立場から解説します。

2026年6月19日(金)に申請受付が始まり、締切は7月24日(金)17:00です。

【情報の正確性について】本記事の情報は、中小企業庁公式サイト(shoukei-mahojokin.go.jp)および15次公募要領(Ver.1.0)に基づいています。補助率・対象経費の詳細は必ず公募要領原文をご確認ください。スケジュールは変更になる場合があります。


目次

1. 事業承継・M&A補助金15次公募の採択率はいくつ?

補助金を検討するうえで「そもそも通るのか」は最大の関心事です。中小企業庁は2026年5月15日に14次公募の採択結果を発表しました。

14次公募の採択実績(公式確定値)

項目数値
申請件数512件
採択件数311件
採択率60.7%

出典:中小企業庁公式サイト「事業承継・M&A補助金」14次公募採択結果(2026年5月15日)

10人が申請すれば6人が通る計算です。多くの補助金の採択率が30〜50%程度であることを考えると、しっかり準備すれば十分に採択を狙える水準といえます。

枠別の採択状況(14次公募・公式確定値)

申請件数採択件数採択率
事業承継促進枠169件103件約60.9%
専門家活用枠299件180件約60.2%
PMI推進枠43件27件約62.8%
廃業・再チャレンジ枠1件1件※参考程度

出典:中小企業庁公式サイト・14次公募採択結果(2026年5月15日)。採択率は掲載数値から筆者が計算。

いずれの枠も60%前後で安定していますが、これは「正しく準備して受理された申請」に対する採択率である点に注意が必要です。次の章で解説する通り、この60.7%という数字の土俵に立てていない申請が別に存在します。


2. GビズIDの取得確認

まだ取得していない場合、審査を受けることさえできません。

前章の採択率60.7%は、Jグランツで実際に受理された申請512件を基にした数値です。GビズIDプライムを取得できなければ、この512件に名前を連ねることさえできません。不採択は「審査された上で基準に届かなかった」結果ですが、GビズID未取得は「審査の入り口にすら立てない」状態であり、不採択よりも一段階手前で終わる、最優先で潰しておくべき準備不足です。

申請はJグランツというシステムから行いますが、ログインにはGビズIDプライムアカウントが必要です。このアカウントの申請・発行には通常1〜2週間、混雑時は3週間程度かかります(15次公募要領より)。締切直前に気づいても間に合わない可能性があるため、今すぐ取得手続きを開始することが必要です。

GビズIDプライムアカウントの取得にかかる期間

状況発行にかかる期間
通常時1〜2週間程度
混雑時3週間程度

出典:15次公募要領(Ver.1.0)「GビズIDプライムアカウントの申請・発行には1週間から2週間程度必要。また、混雑時は3週間程度必要となるため、留意すること」

7/24締切から逆算した取得タイムライン

申請開始時期発行見込み状況
6月中7月上旬には取得可(通常時)◎ 余裕あり
6月末まで7月中旬〜下旬に取得見込み△ ギリギリ
7月上旬以降混雑時は7/24に間に合わない可能性✕ 要注意

http://gbiz-id.go.jpGビズIDの発行期間は公募要領の記載に基づく目安です。実際の発行状況により前後します。申請・ステータス確認は公式サイト(gbiz-id.go.jp)でご確認ください。

今すぐ行動を
GビズIDプライムの申請は gbiz-id.go.jp から行えます。GビズIDは他の補助金・行政サービスにも使えるため、早めの取得を強くお勧めします。取得方法に不安がある場合は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。


3. 15次公募の変更点と小規模売り手への影響

確定している申請スケジュール

項目日程
公募要領公開2026年5月22日(金)
申請受付開始2026年6月19日(金)
申請締切2026年7月24日(金)17:00
採択発表(予定)2026年9月中旬
交付決定(予定)2026年9月下旬以降
事業実施期間交付決定日〜2027年11月下旬(予定)
補助金交付手続き2027年5月中旬以降(予定)

出典:中小企業庁公式サイト「事業承継・M&A補助金」15次公募スケジュール(2026年6月時点)。「予定」の項目は変更の可能性があります。

最大のトピック:「小規模売り手支援類型」が新設

15次公募から専門家活用枠に「小規模売り手支援類型」が追加されました。従業員が少ない小規模事業者が会社・事業を売却(M&A)する際に、FA(ファイナンシャルアドバイザー)・仲介業者への手数料を補助する制度です。

比較項目通常の専門家活用枠(売り手)小規模売り手支援類型(新設)
対象中小企業者等(売り手)小規模事業者等(売り手)
補助上限最大800万円最大450万円
主な補助対象経費M&A専門家費用等FA・仲介手数料等
同一公募回での重複申請不可(どちらか一方のみ)不可(どちらか一方のみ)

出典:15次公募 専門家活用枠【小規模売り手支援類型】公募要領(Ver.1.0)。補助率の詳細は公募要領をご参照ください。

「小規模事業者等」の定義(商工会・商工会議所法に基づく)は以下のとおりです。

  • 製造業その他:従業員20人以下
  • 商業・サービス業:従業員5人以下
  • 宿泊業・娯楽業:従業員20人以下

個人事業主の場合は、開業届・青色申告承認申請書の提出から5年が経過していることも要件のひとつです(詳細は公募要領をご確認ください)。

注意 小規模売り手支援類型(補助上限450万円)と通常の専門家活用枠・売り手支援類型(補助上限800万円)は、同一公募回での重複申請ができません。どちらに申請するかは公募要領を十分に確認した上で判断してください。判断に迷う場合は当事務所にご相談ください。


\ うちは小規模売り手支援類型と通常枠、どちらが対象? /


4. 審査で不採択となる理由

採択率60.7%は、見方を変えると約4割の受理された申請が審査で不採択になっているということです。GビズID未取得のような「申請に至らないケース」とは別に、書類を提出した上で不採択になる申請には、以下のような共通のパターンがあります。

① 事業計画書の説得力・数値根拠が不足している

審査において最も重視されるのが事業計画書の内容です。「M&Aを通じてどのような経営課題を解決するのか」「M&A後にどのような事業展開を予定しているか」が、具体的な数値根拠とともに記載されていないと採択は難しくなります。売り手の場合は、なぜM&Aによる第三者承継が必要なのか、従業員の雇用や地域経済への貢献をどのように引き継ぐのかを明確に示すことが重要です。

② 必要書類の不備・様式ミス

公募要領に定められた必要書類が揃っていない、または様式が異なるという理由で不採択になるケースがあります。必要書類チェックリスト(公式サイトからExcel形式でダウンロード可能)を事前に確認することが不可欠です。個人事業主の場合は確定申告書B・青色申告決算書の写し、法人の場合は3期分の決算・申告完了が要件となっています。

③ 補助対象経費の誤認識

補助対象経費の範囲・上限・補助率は類型によって異なり、また「M&A支援機関登録制度」に登録された事業者への費用であることが求められます。対象経費の詳細は、必ず該当枠の公募要領をご確認ください。

④ 加点項目を活用していない

審査には基本審査に加えて加点事由があります。賃上げ要件への対応、事業承継・引継ぎ支援センターの利用、よろず支援拠点への相談実績などが加点対象です(詳細は公募要領15.2をご参照ください)。審査内容が同水準のとき、加点の有無が採否を分けることがあります。なお、過去18ヶ月以内に中小企業庁所管の他補助金で賃上げ加点要件が未達成の場合は減点対象となる場合があります。


5. 採択されやすい申請者の特徴

落ちる理由の反面として、採択されている申請者に共通する要素を整理します。

審査員が重視する3つのポイント

15次公募要領では書類審査によって採択事業者を決定することが明記されています。概ね以下の観点が重視されます。

  1. 事業の目的・必要性:なぜM&Aによる承継が必要なのか、後継者不在の状況や雇用の維持といった事業継続の必要性が具体的に説明されているか
  2. 事業内容の具体性:M&Aの相手先探し・専門家活用のプロセスが具体的で実現可能なものになっているか。補助対象経費の内容・金額の妥当性が示されているか
  3. 地域経済への貢献:地域雇用の維持・創出、地域の強み(技術・特産品等)の活用など、地域経済に貢献していることが確認できるか

小規模売り手が採択を得やすくなるポイント

  • 認定経営革新等支援機関・事業承継・引継ぎ支援センターへの相談を事前に行い、その内容を事業計画に反映させる
  • 地域の雇用維持・事業の強みを定量的に説明する(従業員数、売上実績、地域との取引実績など)
  • 利用する専門家(FA・仲介業者)が「M&A支援機関登録制度」に登録されていることを事前に確認する
  • 補助対象経費の見積書を事前に取得し、金額の合理性を説明できるようにしておく
  • 賃上げ要件など、加点事由に該当する場合は漏れなく申請書類に記載し、証明書類を添付する

当事務所はM&A支援機関登録制度の登録支援機関であり、一般社団法人M&A支援機関協会の会員でもあるため、上記のチェック事項をすべて一括でご確認いただけます。専門家選びの段階からご相談いただくことで、補助対象経費の認識ミスを未然に防げます。


6. 7/24締切から逆算!審査を通過する準備チェックリスト

フェーズ1:今すぐ

まず「自分が申請できるか」を確認し、最低限の基盤を整える期間です。

  • 自社の業種・従業員数から「小規模事業者等」に該当するか確認した
  • 申請する枠・類型(小規模売り手支援類型か通常類型か)を確認した
  • GビズIDプライムアカウントを取得済み、または今日中に申請した
  • 利用予定のFA・仲介業者がM&A支援機関登録制度に登録されていることを確認した
  • 公式サイト(shoukei-mahojokin.go.jp)から該当する公募要領をダウンロードした
  • 必要書類チェックリスト(公式Excelファイル)をダウンロードした
  • 個人事業主の場合:開業届・青色申告承認申請書提出から5年経過しているか確認した
  • 法人の場合:設立登記および3期分の決算・申告が完了しているか確認した

フェーズ2:6月19日〜7月10日(申請受付開始後)

事業計画書と書類の準備を本格的に進める期間です。

  • 認定経営革新等支援機関または事業承継・引継ぎ支援センターへの相談予約を入れた
  • M&Aを通じて解決したい経営課題・承継の必要性を文書化し始めた
  • 事業計画書のドラフト(なぜM&Aが必要か、誰に引き継ぐ予定か、従業員はどうなるか)を作成した
  • 補助対象経費の見積書を専門家から入手した(または入手の段取りをした)
  • 地域経済への貢献実績(雇用数・取引先・地域事業等)を数値でまとめた
  • 加点事由に該当するか確認し、証明書類を準備した
  • GビズIDプライムアカウントが発行され、Jグランツにログインできることを確認した

フェーズ3:7月11日〜7月23日(最終確認)

提出直前の最終チェックです。7月22日(水)までの提出完了を目標に動きましょう。

  • 必要書類チェックリストの全項目に対応できているか最終確認した
  • 事業計画書の数値(補助対象経費の金額等)が見積書と一致しているか確認した
  • Jグランツへのアップロードに問題がないか(ファイルサイズ・形式等)確認した
  • 申請内容について認定支援機関の最終チェックを受けた
  • 7月22日(水)17時までに提出完了した

締切厳守 7月24日(金)17:00が最終締切です。直前はサーバーが混雑する可能性があります。少なくとも締切の2〜3日前には提出を完了させることをお勧めします。


7. よくある質問(Q&A)

Q. 採択されたら、いつからM&Aの活動を始められますか?
A. 採択が9月中旬予定、交付決定が9月下旬予定です。補助対象となるFA費用・仲介手数料等は、原則として交付決定後に締結・支払った経費が対象となります。交付決定前に契約・支払いを行った場合は補助対象外になるリスクがありますので、必ず交付決定通知を受け取ってから手続きを進めてください。詳細は公募要領16.2をご確認ください。

Q. 不採択だった場合、次の公募回に再申請できますか?
A. 不採択でも次回公募への再申請は可能です。不採択の主な要因は事業計画書の内容と書類不備ですので、改善を行ったうえで再挑戦することをお勧めします。なお、採択者一覧は公式サイトで公表される予定ですが、廃業・再チャレンジ枠・専門家活用枠の採択者は非公表となる場合があります。

Q. 補助金はいつ振り込まれますか?
A. 15次公募の場合、実績報告を経て2027年5月中旬以降となる予定です(公式スケジュールより)。補助金は後払い(精算払い)のため、まずM&A費用を自己負担し、実績報告後に審査を経て補助金が振り込まれます。資金繰りについては事前に計画しておくことが重要です。

Q. 小規模売り手支援類型と通常の売り手支援類型、どちらを選ぶべきですか?
A. 小規模事業者等に該当する場合、補助上限450万円の小規模売り手支援類型か、補助上限800万円の通常の売り手支援類型かを選択できます(同一公募回での重複申請は不可)。M&Aにかかる専門家費用の見込み額や各類型の要件の違いを公募要領で確認の上、専門家にご相談ください。


8. まとめ:7月24日(金)17時締切まで今すぐやること

この記事のポイントを整理します。

  1. 採択率は14次公募で60.7%(公式確定値)。しっかり準備すれば十分に通れる制度です
  2. GビズID未取得は『審査の入り口にすら立てない』状態。今日中に対処すべき最優先事項です
  3. 15次公募から新設された「小規模売り手支援類型」(補助上限450万円)は、小規模事業者にとって大きなチャンスです
  4. 締切は2026年7月24日(金)17:00。余裕をもって7月22日(水)までの提出を目標にしましょう

「自分のケースで申請できるのか」「計画書の書き方が分からない」

——そんなときは、まず当事務所にご相談ください。


※本記事の内容は2026年6月19日時点の情報に基づいています。補助金制度の詳細・最新情報は必ず公式サイトの公募要領をご確認ください。本記事は、申請の可否・採択を保証するものではありません。個別のケースに関するご相談は、M&A支援機関登録制度の登録支援機関である当事務所までお気軽にお問い合わせください。


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