- Home
- Uncategorized
- ノンネームとネームクリア
ブログ
9.212025
ノンネームとネームクリア

M&A(Mergers and Acquisitions:企業の合併・買収)におけるノンネームとネームクリアは、買収対象となる企業の情報を段階的に開示していくための重要なプロセスです。
ノンネーム(Non-name)
ノンネームとは、M&Aの初期段階で、買収対象となる企業の特定につながる情報を伏せた形で作成される資料のことです。具体的には、社名や代表者名、具体的な所在地などの固有名詞をすべて匿名化し、業種、事業内容、従業員数、売上規模、財務状況といった企業概要のみを記載します。
この資料の目的は、買い手候補となる企業に「どのような事業を売却したい企業があるか」を広く提示し、興味があるかどうかを探ることです。もし買い手候補が興味を示せば、次のステップであるネームクリアに進みます。
ネームクリア(Name-clear)
ネームクリアとは、ノンネーム資料を見て興味を持った買い手候補に対して、売り手企業の実名を開示するプロセスです。
買い手候補は、ノンネーム資料で提示された情報をもとに、より詳細な情報を得るための契約、すなわち「秘密保持契約(NDA: Non-Disclosure Agreement)」を結びます。この契約を締結することで、買い手候補は機密情報を外部に漏らさないことを約束します。
秘密保持契約が結ばれた後に、売り手企業の名前が明らかになり、さらに詳細な情報が提供されます。これにより、本格的な交渉やデューデリジェンス(詳細な調査)に進むかどうかの判断が行われます。
なぜノンネームとネームクリアが必要なのか
この2つのプロセスは、売り手企業の機密性を守るために非常に重要です。
もし最初から売り手企業の社名を公開してしまうと、M&Aの検討が公になり、従業員や取引先、顧客に不安を与えたり、事業運営に悪影響を及ぼしたりするリスクがあります。ノンネームの段階では、多くの買い手候補に広く情報を提示できますが、匿名性が保たれるため、そうしたリスクを最小限に抑えられます。
ネームクリアは、買い手候補が真剣にM&Aを検討していることを確認した上で、必要な情報だけを段階的に開示するための仕組みと言えます。これにより、円滑かつ安全にM&Aの交渉を進めることができます。